特集展 歴史になった幕末維新~記憶から記録へ~
2018/11/23 - 2019/02/03
開催期間 | 2018/11/23 - 2019/02/03 |
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休館日 | なし(年末年始も開館) |
観覧料 | ■観覧料 700円(団体20名以上560円) ■高知城とのセット券 890円 ※高校生以下は無料 ※高知県・高知市長寿手帳所持者は無料 ※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳、被爆者健康手帳所持者と介護者(1名)は無料 ●観覧券は当日のみ有効です。(年間観覧券は除く) |
備考 | ※セット券販売休止期間:高知城休館日12月26日~31日、高知城特別無料開館日1月1日 ※11月22日(木)~25日(日) 12月1日(土)~2日(日)は21:00まで開館延長します。 ※11月27日(火)~12月6日(木)は企画展展示替え期間のため500円(団体400円/セット券730円) |
展示の見どころ
人々はいかに過去をふり返り、歴史をつむいできたのか —
幕末維新という動乱の時代を、後世の人々はいかにふり返り、歴史として確認してきたのでしょうか。
すでに、明治初期から歴史資料を整理・記録する作業は始まり、その後、時とともに薄れゆく記憶を記録した回顧録や、ある主題に基づいて編纂された資料集、そして、日本あるいは地域の歴史において幕末維新期の意義付けを考察した論文集や自治体史などが発刊されるようになりました。また時には、歴史の現場に記念碑や顕彰碑が建立されるなど、歴史は実にさまざまな方法でつむがれてきています。
明治150年特集展の最後として、本展示では土佐の幕末維新期を事例に歴史の伝えられ方を考えます。
門外不出の一大資料集 『皆山集』
明治7年(1874)に高知県庶務課地誌編集係に採用された松野尾章行は、県庁にあった古文書や日記などを筆写し、全116巻に及ぶ資料集、『皆山集』を編纂しました。
『皆山集 第96巻』(全116冊のうち、44冊)(高知県立図書館蔵)
『皆山集 第96巻』に収録されている土佐の嘉永年間から明治元年の戊辰戦争までをまとめた「高知藩維新形勢始末史料稿」の冒頭には、草稿で誤りがあるかもしれないため、人に見せないようにといったことや、史実に疑いがあっても排除するのではなく、すべてを掲載し公平な史観をもって記録したことなど、松野尾の歴史編纂にかける誠実な姿勢が記されています。
『高知藩維新形勢始末資料稿』冒頭(皆山集第96巻)(高知県立図書館蔵)
この『皆山集』は、「家門不出」の刻印があり、松野尾家で長らく保管されてきたものです。現在は、高知県立図書館に収蔵され、活字化して刊行された『皆山集』によってその内容が公開されていますが、松野尾本人が書き残した土佐の歴史を語る原本をぜひご覧ください。
100年以上続く土佐史研究誌 『土佐史談』
高知県史編纂に従事していた中城直正は、明治45年(1912)に「史談会の設立を望む」と題した一文を、『土佐図書倶楽部 第61号』に寄稿し、この中城とともに県史編纂委員を務めていた武市佐市郎や土佐図書倶楽部会員などの有志が集まって、歴史を語り合う不定期の会合が始まりました。
これが起因となり、大正6年(1917)6月には会員組織としての「土佐史談会」が誕生し、同年9月より、機関誌である『土佐史壇』(昭和2年(1927)の第18号より「土佐史談」と改題)が発行され、以後、会員らによる土佐史研究に関する数々の論文などが掲載されました。
『土佐史壇 第1号』(高市民図書館蔵)
大正10年(1921)11月29日に土佐高等女学校で開かれた第59回史談会にて撮影された記念写真が残っています。
写真には、史談会の世話役であった武市佐市郎(前列左から3番目)と中城直正(前列右から3番目)、自由民権家の安芸喜代香(前列左から5番目)などが写っています。
『土佐史談回会員集合写真』(高知市民図書館蔵)
昭和9年(1934)3月に刊行された『土佐史談 第46号』(「山内神社別格官幣社列格記念号」)は、山内家家史編輯所主任の沼田頼輔の「山内容堂公所感」を掲載し、不敬事件として大きな問題となりました。
不敬の理由は、「申すも恐れ多けれど、天子将軍皆御一代限り、別系の仁主より嗣ぎ奉りて可なるべし」という容堂の座興の一言を、「公の才胆と明智」と評価したことが正閏(系統が正しいか正しくないか)問題に触れたと見做されたためです。
展示する『土佐史談』の該当ページは破られているなど、その時代の研究状況をうかがい知ることができる資料も展示します。
『土佐史談 第46号』高知市民図書館蔵