開館5周年記念企画展 土佐のやきもの 尾戸焼
2022/03/18 - 2022/05/30
開催期間 | 2022/03/18 - 2022/05/30 |
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休館日 | なし |
観覧料 | 700円(常設展含む)(団体20名以上560円) ■高校生以下は無料 ■高知城とのセット券/900円 *高知県・高知市長寿手帳所持者は無料 *身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳、被爆者健康手帳所持者と介護者(1名)は無料 ●観覧券は当日のみ有効です。 |
尾戸焼とは
承応2年(1653)、土佐藩によって高知城下・尾戸(おど、現在の高知市小津)に開かれた陶器の窯です。火災、移転、民営化など幾度もの危機をのりこえ、現代まで絶えることなく操業が続けられています。
【染付松竹梅図茶碗(個人蔵)】
【尾戸窯印】
370年のあゆみ
はじまりはじまり
開窯当時、焼物は藩外からの移入に頼っていました。これを国産化しようと考えた2代藩主山内忠義・執政野中兼山は、大坂から陶工久野正伯(くのしょうはく)を招き、国内から原材料となる土を探させ、窯を築き、森田久右衛門・山﨑平内に技術を学ぶよう命じました。
初回の窯は台が崩れて大失敗。しかし無事残ったいくつかを江戸で見た忠義は大満足で「お遣いものや、下々の日用に役立つであろう」と地元に書き送っています。
【茶入 銘 吹上(個人蔵)】
【栗原家旧蔵片口水指(当館蔵 個人寄贈)】
4代藩主、大プッシュ
やがて窯は軌道に乗り、贈答用の茶道具、藩の儀礼用品などが盛んに作られるようになります。
特に4代藩主豊昌は尾戸焼製品の品質向上と売り込みに熱心で、焼物師森田久右衛門を土佐から江戸に呼び寄せ、各地の窯を視察させたり幕府の要人の前でロクロの腕を披露させたりしています。
やがて茶湯の流行が落ちつくと、藩主の指示で茶陶から日用品に生産の重点がシフトすることもあったようですが、享保12年(1727)の大火をものりこえ、生産が続けられました。
【森田久右衛門日記(森田芳博氏寄託)】
ほ、方向転換?!
しかし、陶器に代わって磁器が求められる時代が訪れると、藩は肥前出身の技術者を呼び寄せ、郊外の能茶山(のうさやま、現在の高知市鴨部)に磁器窯を築くと共に、文政5年(1822)、尾戸の地の窯を廃し、陶工達に能茶山への移転を命じました。
ただし藩の事業の主力が磁器に移った後も、陶器の生産は続いていたようで、伝世品・出土遺物が豊富に残されています。
一方、磁器の生産の方は、主原料と製品の運搬費がかさんで精算がとれず、なかなか苦労したようです。
【染付芦雁図碗(当館蔵 個人寄贈)】
【染付山水図鉢(個人蔵)】
そして明治維新…。
藩の保護下を離れた窯は、県外の大量生産品、次いでアルミやガラス製の工業製品と戦いつつ、新しい時代の求める陶器づくりに取り組んでいくことになります。
【吹墨染付瓢形水注 森田潤(光虎)作(当館蔵 個人寄贈)】
【轆轤目茶碗 市原峴山作(個人蔵)】
100点を展示
時代によりそい、抗いながら現在までその火を護り伝えてきた尾戸焼。
この展覧会では県内の茶人・収集家に大切に伝えられてきたあの茶道具、この置物など、知る人ぞ知る伝世品約100点を展示。多様な技法と風趣を存分にお楽しみ頂けます。
また、これまで知られてきた年紀入りの作品・文献を一堂に会し、合せて出土遺物もご紹介することで、いまだ謎多き尾戸焼の姿に迫ります。
【三島手茶碗(個人蔵)】
【松に双蝶図盃(個人蔵)】
尾戸焼でほっと
期間中、喫茶室では特別メニュー「尾戸焼セット」を販売。
展覧会を見た後は、尾戸焼の器で、お城を見ながらほっと一息。この機会にぜひ、目と手と舌で尾戸焼を味わってください。
開催期間:令和4年3月18日(金)~5月29日(日)
開催場所:当館2階 珈琲館イストワール
営業時間: 9:00~17:00(日曜日は8:00オープン)
定 休 日 : 月曜日(祝日の場合は翌火曜日)