高知城歴史博物館の企画展「福を呼ぶ城博のお正月」で展示する刀剣がエントリー。
昨年に引続き「刀 銘 国時」「刀 号 今村兼光」「刀 号 一国兼光」「刀 銘 康光」の重要文化財4振。さらに山内家ゆかりの「刀 銘 兼常」が新たに参戦します。
「名刀って言われたって、全部同じに見える。。。」
ご心配無用!この企画にあわせて学芸員がそれぞれの刀の特徴をキャラクター化しました。「刃文」「映り」「茎」。呪文のような刀用語もキャラクターたちが身をもってわかりやすく解説します。
刀の個性が見えてきたら、あなたのお気に入りをクリックしてみてください。
そして!ぜひ!博物館へ!実物に会いに来て下さい。刀カードなどいろいろご用意してお待ちしております。
刃長 78.8cm 反り 2.4cm
鎌倉時代末期(14世紀前期)
掛川神社蔵
肥後国菊池(現在の熊本県菊池市)の刀工国時は、山城国(現在の京都府)来派の流れを汲みます。この刀も来風のおっとりと優美な姿が特長です。
刃長80.6cm 反り 2.0cm
建武3年(1336)
高知県立高知城歴史博物館蔵
兼光は備前長船(現在の岡山県瀬戸内市)の刀工。長い活躍期間の前後で大きく作風を変えます。今村兼光は初期の作品の中でもひときわ古風で、豪壮な姿、控えめな刃文が特徴です。
刃長75.5cm 反り2.1cm
文和4年(1355)
高知県立高知城歴史博物館蔵
「太刀 号 今村兼光」と同一人物が作った刀ですが、一転、伸びやかな鋒、華や かな刃文となっています。 藤堂高虎から「もし将軍様がこの刀を所望されたら?」と問われた土佐藩主山内忠 義が「土佐一国に替えても手放さない」と言った、というエピソードが知られてい ますが、土佐藩・幕府双方の記録によれば、寛永13年(1636)に3代将軍家光から 帰国の挨拶の際に下賜されたもののようです。
刃長82.7cm 反り3.2cm
室町時代初期(14世紀末-15世紀初)
掛川神社蔵
室町時代の備前長船派は応永備前と呼ばれ、康光はその代表的な刀工の1人です。 南北朝の戦乱が終わると、刀は大きく・厚く・華やかな作風から、鎌倉時代へリバイバルします。この刀も、先細の優美な姿です。
ENTRY05 大太刀 南海太郎は今回は不参加です。
刃長71.2cm 反り2.3cm
安土桃山時代(16世紀)
高知県立高知城歴史博物館蔵
兼常は美濃国関(現在の岐阜県関市)の刀工で、室町時代から数代にわたり活躍しました。この刀は文禄(1593-96)頃に活躍した9代のものと推測されます。質の良い地鉄がよく鍛えられており、実用性と落ち着いた美しさを兼ね備えた刀です。
実はとっても個性豊かな刀たち。
そんな個性を見分けるポイントを
いくつかご紹介します。
刀を作る時、熱した刀を水で一気に冷やす「焼き入れ」という作業を行います。この時、あらかじめ、刃になる側には薄く、反対側(棟)には厚く土が塗られています。焼き入れによって、土が薄い部分は急速に冷えて硬い組織に、土が厚い部分や刀内部はゆっくり冷めて軟らかく粘り強い組織に変化します。この後、刀全体を研ぐと、硬い部分(刃)は白く、軟らかい部分(地)は黒く見えるようになります。この白い部分の文様を「刃文」と呼びます。刃と地の境界が直線的なものを「直刃(すぐは)」、曲線のものを「乱れ刃」と呼びます。土の塗り方によって刃と地の境界は様々な表情を見せます。
刀の表面に光を当てたときにきらきらと輝く粒子で、肉眼で個々の粒子が見えるものを「沸」、霧のように細かいものを「匂」と呼びます。その正体は、軟らかい組織の中に混じっている硬い組織です。研ぎによってごくわずかな高低差が生まれた結果、白く浮き上がって見えるようになるのです。これらは、地と刃の境に最もはっきりと現れ、刃文を構成しますが、地の中や刃の中にも現れて、刀の表情に奥行きを与えます。
刀の地の部分に現れる、白い影のような文様です。これも、軟らかい組織の中に混じっている硬い組織が、研ぎによって白く浮き上がって見えるようになったものです。直線的なものを「棒映り」、そうでないものを「乱れ映り」と呼びます。
刀を鍛える時には、熱した鋼を平たく打ち延ばし、折り返して重ね、さらに打ち延ばすという工程を繰り返します。折り返すことで生まれた層の重なりが刀の表面に現れたものが「鍛え肌」です。 木を年輪の中心付近で縦に切ったときに見られるようなまっすぐ通った縦じまの文様を「柾目肌」といいます。中心から離れたところで切った板の木目のように見える文様を「板目肌」、同心円状の文様を「杢目肌」といいます。
刀の手元側の、柄(つか)に入る部分を茎といいます。刀を柄に固定するための穴(目釘孔)、作者名、制作年月日などが彫られ(切られ)ています。 刀の持ち主が穴の位置を変えただとか、短くした(磨り上げた)だとかといった、その刀の歴史を読み取ることができます。
神仏の姿や名号のほか、直線状の溝(樋、ひ)などがあります。樋は、刀の強度を保ちつつ重量を減らすために彫られます。
刀の容れ物で、茎を収める柄、刀身を収める鞘(さや)、鐔(つば)などから成ります。漆や金具、組紐、革など様々な素材や細やかな細工を楽しみます。
歴史上の人物が持っていたり、興味深いエピソードが伝わっているものが多いのも、刀の魅力の1つです。
刀の鑑賞ポイントはほかにももっとたくさんありますが、このコンテンツでは、今回展示する刀に関連の深いものをピックアップしてご紹介しています。また、研究者によって用語の使い方が違うことがあります。
参考文献
谷村熈「日本刀の冶金学的研究」鉄と鋼67-3、1981年
小笠原信夫『刀の鑑賞基礎知識』至文堂、1995年
渡邉妙子・住麻紀『日本刀の教科書』東京堂出版、2014年
展示室内でも投票を受け付けています。
そしてなんと!
会場では、刀のキャラクターカードをお配りしています。
どれがもらえるかは、来てのお楽しみ!